YouTubeのJFX LIVE小林芳彦社長のお話で、投資手法や中長期の見通しなど、何度も復習して見返したいものを抜粋しました。YouTubeのタイムスタンプ(再生開始時間)からJFXの動画にジャンプします。
日銀介入関連
日銀の介入となんちゃって介入を区別する実益
利食いをどこまで引っ張るか判断するために区別する。なんちゃって介入の場合は、ほどんどのケースで40~50銭動いたら反転するような感じで見ている。要は1円を落とすというのは、かなり大玉を振らないと落ちない。マーケットがビックリして介入と勘違いして売る人間が多ければストーンと落 ちるけど、その後の戻しも当然早い。大口先が売り崩して下で自分が利食うというパターンにした場合は、突然、急激に下がるが、40~50銭下がったところでピタッと止まって、そこから今度一気に上昇してスタート地点を超えて行くことが多い。利食いをしっかりやるというのは なんちゃって介入の時の注意点。
本当の実弾の介入というのは、自分が思っているイメージとしては、2円50銭~3円ぐらいはやるというふうに考えている。中途半端に1円とかで終わった介入というのはあまり記憶にない。というか無かったじゃないかなと思う。
したがって、実弾の介入であれば1円以上下がっても、まだそこから値動きが反発する間もなく20~30銭レートが飛びながら落ちていくという形になれば、まだあと1円ぐらい落ちそうという感覚になるのでそこからも売れる。
なんちゃって介入の場合には、これどうなんだろうなと思ったところから、急に巻き戻したするので、戻り売りをすると多分捕まる。実弾介入の場合には、戻り売りでも何度も、とにかく売っていかないと多分取れない。そのぐらいの違いがあるかなというふうに思う。
日銀介入のタイミングが絶妙だったように思うがどうか?
私も同じことをイメージする。
介入のタイミングが絶妙だったことで、あの日(9/22)、145円90銭をやってから、145円80・85銭で 介入したと思うが、あそこで入らなかったら146円台はその日のうちに(抜けた)。それで、146円50銭を抜けたら、やっぱり147円台が見えてくる。そうすると直近の何十年ぶりかの高値が147円63銭くらいだったから、これを意識して、もし、これが抜けたら150円という話になると思う。
それを予防する意味で介入に入ったことで、140円台の前半、30銭台まで落とした。
そこから、ここ(144円90銭)までもどってきた。結果的には効いてないじゃないかっていう人がいるが、黙っていたら146円台にその日のうちに突入していたと思われる。それが未だに145円の手前で止まっている。やはり介入効果はあったと私は思う。介入でピンポイントに長い間、相場の一点で止めておくのはよほどの資金がないとできない。
要は、介入というのは、瞬間的なアナウンスメント効果で、相場が反転はするがトレンドが変わることはない。トレンドを変えるためには、例えば、ドルの需給バランスで買わなきゃいけない人たちみんなに安いところで全部買わせるということ。
できるかできないか別にして140円台で1週間ずっとドルを売り続ける介入で、買いたい人たちが全員買えてしまう、ロングで捕まった人間は投げざるを得ない、もうビタイチも上がってこないという状態にすれば、需給バランスが変わって誰も上を買わなくなる。そうするとマーケットは反転する。反転するが、ファンダメンタルズが変わるわけではないので、じゃあこれで本当にドル売り相場になってどこまでも落ちてくかというと、それはない。単に時間を稼いだだけ。
それで、半月経てばドルを買わなきゃいけない人間が出てくる。もっと安いところを買えるのではないかと思って待っていても、介入の流れが止まれば自然とドルは上がっていく。
結果的には同じところに来るので「介入で相場の流れが止められるか」と言われたら止められない。ただ、そこに行くまでの時間を稼ぐことはできる。その間に、何かしらの条件が変わっていけばドルが天井を打つかもしれない。
あと、どれだけ先になるか分からないが、アメリカの金利が下がり始める。来年は下がらないと言っていたけれど、その前に明らかにアメリカがリセッションに突入すると景気がどんどん悪化する。そういう状況になっていくと株が暴落する。すると怖くなって資金が全部米債に流れる。米債の価格が上がって長期金利が下がる。それによってドルが頭打ちになる。もしくは、ユーロドルやポンドドルが何かしらの材料で底打ちをして反転をする。反転をし始めるとドルが売られる事になる。今度は全面的に買われすぎたドルが反落し、トレンド転換になる可能性はある。だから、そうなる前にどこまでも上がってしまってはまずいので、スムージングになるように介入で時間を稼ぐ。
自分が今までずっと相場をやってきて「介入で相場の流れが変えられるか」と言われたら、答えはNOだ。3兆円規模の介入をやるのではないか。お金が足りなくなり、米債が売れないという話になったら、スワップ協定を使うなりして資金を調達しドル売りをやることは可能だと思う。
145円を超えても介入はないのではないか?
145円を超えても介入はないと思う。
前回は、142・3円からいきなり144円の後半になって、それが145円後半になるというような形で毎日1円以上吹き上がっていた。黙っていれば146円147円が見えてくるというところまで上がったので(円)買いに入った。ずっとドル円に関しては、下がっても143円90銭がつかなかったぐらい。
この前介入で落ちたところから、確かにすぐ144円台をやって、そこから上は完全に止められているけれど、一番緩んでも143円90銭。そこから1円動いてないということだから、「今は激しく上昇していますか?円は売られていますか?スムージングをする必要はあるか?」といったら答えはノーだ。それで、昔何度か申し上げたように、「日本が世界に特定の相場水準を思っているわけではない。そこに向けて押し下げたり押し上げたりするような介入はしない。あくまでもスムージングをやるだけだ」ということを野田政権の時に国際公約した。介入があって直近3日間を見ても1円も動いてないぐらい。そうすると、慌てて介入をしなきゃいけない状況だとは日本としても言えない。
アメリカも、日本の介入に対して「理解をした」と言っており、別に「認めた」と言っているわけではない。「日本がボラティリティを低下させるため、急激な上昇を防ぐために介入をしたことを理解した」と。
それでは、今はその理解した内容状況と比べたら、全然一緒じゃないので、ここでもう1回介入をして140円台まで押し下げたら、「言っていることが違うよね」というふうになるので介入できないと思う。
直近高値の145円90銭を超えて、146円台タッチだったら介入の可能性は十分ある。もしくは、前回介入した145円80・85銭を抜けて、ボラティリティが急激に高まる恐れがあれば、可能かなという気がする。
だから、145円を超えたからといってピンポイントで介入があるということは考えていない。ただ、これが 145円50銭を抜けて 60、70、80と徐々に上がってくるにつれて介入警戒感は強まると思う。
ドル円145円超えの戦略
難しいですけどね。145円を超えていった時にレベル感で売る人たちがどれだけいるか。介入期待で売って、なかった時、145円50銭超えとかで爆死するわけだから。自分は、介入を期待するショートは多分振らないだろうと思う。
オペレーションは長期で持てない。短期でやるとして飛びつきで買って、145円15・20銭の手前ではやめ、その上はどうしますかね・・・。まだマーケットが売り上がっているなと思えば、瞬間的にスキャルで買うかもしれない。145円50銭の上はさすがにちょっと、やっぱり様子見でしょうね。こういった、入ってもおかしくないなと思う時にいきなり145円50・55銭ぐらいから145円35銭売り、20銭売りというふうに相場が動いたら、まず、ほとんどの人が介入だと思うじゃないですか?だから売っちゃうわけですよね。
相場というのは、そこで一回ズドーンと落ちるけど、それがなんちゃって介入だった場合は、途中で売った人間がみんな捕まって、今度は、自分が損切りをさせられるわけで。相場が乱高下するから、そういった時はなかなか難しい。介入が本当の介入なのか、なんちゃって介入なのかというのは、瞬間的にファーストアクションでは多分見極められないと思う。でも、自分は145円超えるところは、怖くてもとにかく買ってみる。それで、145円25・30銭から上は、まあ、スキャルだったらどうかなと。145円50銭から上は多分、参戦はしないだろうなと思う。
日銀介入の弊害
144円90銭までやって、143円91銭まで落として、それ以降また、じわじわ米債の利回りが上がってくるにつれて、ドル円も上がってきた。ちょうど今、144円80銭、81銭台ぐらいで止まっている状況。
ここから144円が割れる感じが全くしないので売る気があまりない。それで、どこまで押しがあるか。それと145円をまた今日もつけられない可能性があるので、あまり高いところを買うわけにはいかない。このように判断をすれば、自ずと拾えたらいいなという押し目を買うぐらいしか多分できないだろうなと思う。これが、実は介入した後の弊害。
それまでは、無茶苦茶相場が動いていたのだけれど、そんなボラで介入しますよね。そこからは自然と じわじわ、じわじわ戻っていって値動きが小玉になり、上がれない、下がらないということで相場が止まってしまう。
なんだかんだ言いながらも、この猛烈に動いた後のマーケットのボラティリティがすごく下がってきている。だから、これも、介入の一つの効果といえば効果なのだろうなというふうに思う。
日銀介入期待の逆指値の入れ方
145円後半とか146円台とかで、もし介入があったら、多分3円以上は下がると私は踏んでいる。143円85銭とか143円 65銭とか、そういったところに逆指の売りを入れておく。普通であれば、そんな逆指値が成立するはずがない。
当然、毎日、相場水準を見る。もし、相場がゆっくり下がってくるなら、その逆指値を外したり、下げたりしなきゃいけない。介入がないと引っかからないだろうなと思うところに逆指値のドル売りを入れておけば、それがあった時に何pipsずれるかわからないが(売買が)成立する。それを瞬間的に下で利食えるだろうという気もする。
もう一度介入があればどうなるか
もう1回介入があるとすれば、前回と同じぐらいの下落があると思う。当局としては、介入をやって50銭、1円しか下がらないなんてことは考えられないので、やるのであれば3円はやると思う。
次回の介入がある場合、その指示はすでに出ているのか?それとも、ある水準に近づいてきたら急いで指示するのか?
こればっかりはわからない。介入の水準というのはわからないが、少なくともあまりに上昇のピッチが早い場合には財務官から指示が出るだろうなと思う。
「このレートをつけさせてはいけない」みたいなピンポイントで、ずっと止めるということは、為替相場では無理。ある程度の行き過ぎは、もう、仕方がないと思う。
次に介入があると思う為替水準予想
アメリカが 0.75%の利上げをして、実際問題跳ね上がって145円から150円の間。特に前回の高値、介入があった直前の145円90銭、20年ぐらい前の高値147円63銭、あと150円に届かない手前くらいという、いくつかのポイントがあるかと思う。
その他の質問について
ポジション保有後、すぐにストップロスする場合とナンピンする場合の区別
pipsではなく感覚。例えば、1回売った後、上に持ち上げられる過程がジリジリジリジリしている時というのは結構悩む。あまりナンピンしないかな。どこまで行くかが分からないので、ちょっとナンピできない。でも、すぐには切れないのでちょっと様子見ちゃう。
今売って上にドーンと持ち上げられて、そこで揉みながらちょっと下がり始めたら、切るのではなくてナンピンして売る。アベレージコストに近いところまでやられてでもいいから、そこで1回全部買い戻すと微損で逃げるというパターンになる。
要するに、揉み合っていて上に抜ける時のスピードが速ければ、そこで止まってくれさえすれば、下げも早いのでなんとか逃げられるかなと思う。売った後ジリジリ、ジリジリ上に持ち上げられている時は、どこが天井かわからないので、ナンピンもしにくい。また売ったとしても結果的にはロスが広がって痛手を被っただけというケースの方が多い。ナンピンをしてはいけないなと頭で分かりつつ、条件反射的にやってしまったら、やっぱり後悔して、どっかで切らなきゃいけないだろうなというふうに思う。
BOEの国債買い入れと米国債金利の関係
驚くほど荒れた相場が続いています。昨日もBOEの国債買い入れでギルトだけでなく米国債などの金利まで急落してビックリしました。英国の債券が米国の債券に対しても、こんなに影響力があるものなのでしょうか?10月14日までBOEは国債買い入れするらしいですが、その間は米国債の金利も影響を受けるのでしょうか?
これはすごかった。私も「殿のご乱心」と朝方(Twitterに)書いたが、BOEもちょっと何をやっているのか、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる感じ。昨日は、さすがにマーケットがびっくりしたよね。
BOEのオペレーションで、「債券価格があまりに下がりすぎているので買いオペをします」と価格を押し上げ、それによって長期金利が急落したわけだけど。欧州株の値動きが米株に影響を与えるようにセンチメントとして、ギルト(=英国債)やブンズ(=ドイツ国債)といった長期債の利回りが、アメリカのそれに影響を与えることは多々ある。しかし、英国債の金利がぶち上がる材料があって、じゃあそれが無事に下がったからといって、連日米債の利回りも下がるかというとそうではない。連動性が強い時とそうじゃない時があり、昨日はあまりにBOEのオペレーションが突拍子もなかったので、びっくりして特に影響が大きかったのだろうというふうに思う。
チャートを複数見るならどの通貨ペアがよいか
ドル円、ユーロドル、ポンドドル、オージードルの4つのチャートを出して見ることも相関などの値動きの把握に役立ちますか?
はい。ただ、ポンドドルとオージードルの相関というのはあまり多くないと思うので、もし、4通貨出すのであれば、ドル円とユーロドル、今だったら、ポンドドル、あと、ドルスイスを出してみてください。ドルスイスのトレードをするというわけではないですが。(ドルスイスのチャートを出す)時間足でもみ合いながらちょっと天井から落ちて、またじりじり上がってきている。(ドル円のチャートを出す)ドル円のチャートの形を見ると、ちょっとスケールが違うので、なんとも言えないですが、この辺でもみ合いながら1回落ちて上がってくる動きが、ドルスイスの動きとかなり似ている状況になっています。トレーダーはドルが買われているのか、売られているのか判断するときにドルスイスをチラ見しながら、ユーロドルを見る。そうするとユーロドルが下がってきているので、これはドルが買われてユーロが売られている(とわかる)。それで、まだ時間があるのならポンドドルも見てみる。(ポンドドルのチャートを出す)同じように、「やはり、ああ、なるほどね。ポンドが下がってドルが買われているんだね。要するに、今日のアジア時間は、全面的に基本ドル買いだったんだね」という流れをわかった上でドル円見る。その時、「やっぱりドルが買われているんだね。トレンドは全通貨的に基本ドル買いなんだ」ということをイメージする。
同様に、オージードルで見ても、同じようなチャートになっているはずなんですけど。(オージードルのチャートを出す)。下がっていますよね。それで、ニュージーも同じだと思う。(ニュージードルのチャートを出す)ニュージードルも同じようにドルが買われて下がっている。ニュージードルとオージードルを比べたら、スケールを変えたら、もうどっちの通貨か全くわかんないようなチャートですね。全くそっくりですもんね。
今これニュージーですけど、オージーに変えてみると、ほとんどチャートの形が変わりませんね。それで、全体的にドル買いなんですけど、ドルが買われているか売られているかを見るときに、結構素直な(動きをする)のがドルスイスなので、ぜひ、ドルスイスもご覧になってみるといいかなと思います。
トレンドライン
YouTubeのタイムスタンプ(再生開始時間)1:10:26
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