YouTubeのJFX LIVE(2022.10.6)小林芳彦社長のお話で、投資手法や中長期の見通しなど、何度も復習して見返したいものを抜粋しました。
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指標発表時のポジションの取り方
基本、私は、予想しないで出たとこ勝負なのです。マーケットの予想とどう乖離しているかを確認します。そして、マーケットのアクションを見ながら入っていくので、良くても悪くてもどっちでもいいです。要は、予想の数値よりも上でも下でもいいから離れてくれるとマーケットが動くので、その方がいいなと思っています。これは考え方によってはですね。エコノミストさんたちは予想しますが、為替のディーラーはほとんど予想しないです。その動きに乗ることしか考えてないというふうに思います。
介入は急激な相場変動のときしかできないことを海外の投機筋も理解しているのか?
介入は決まったレートではなく、急激な為替 相場変動の時しかできないことを海外の投機筋も理解しているのでしょうか?
これは、理解していると思いますね。何度も申し上げている通り、日本の野田政権の時に「為替の押し上げ、押し下げの介入は行わない。ある特定の相場水準を念頭に置いているわけではない。あくまでもスムージングオペレーションだ」とはっきり対外公約をしました。
中央銀行が、自国通貨の過度な変動を止める意味で介入するのは例外的に認められるというか、「まあそれは、しょうがないよね」という形で捉えられていると思います。よほどことがない限り、協調介入はない状態だと思います。
今回、「日本の金利が上がりません。世界の金利が上がっています。だから円が売られます。」という状態になっています。
日本も円金利を上げればこんなに円安がずっと続くことはないと思うのですけど、頑なに指値オペをして上昇を止めています。それは、日銀の理論があるわけですけど。企業業績を回復して、所得を増やし、購買力を使って世界全体的にデフレを脱却するという命題があるわけです。
世界から見れば、「みんな金利を上げているのに日本だけやらなかったら、それは円が売られるよ。それは自分の政策から来ていることでしょう。それに対して、むやみやたらにめちゃくちゃ押し下げ介入なんかしたら、それはおかしいよね。」というふうに言われてしまう。
ピッチが速くて、確かに145円90銭まで上がって、あの時に介入しなかったら146円台に間違いなく突入していただろうと思いました。それでなおかつ、146円台で止まらなかった場合、147円63銭(1998年8月の高値)を超えてきたら、本当に150円が見えてしまう。このような状況なので、早め早めに手を打つとすれば、あのタイミングは、絶妙だっただろうと思います。
それで140円台まで下げたわけですけど、それに関しては、見事だったと思います。介入が効かないと言っていた人もいますけど、あれ以来145円30銭を高値にずっと上がらないわけですからね。
しかも、毎日買いに入っているわけではなく、そういった意味では、ドル買いの抑止力として完璧にうまくいっているなというふうに思います。それが米債の利回り低下というのもあって、援護射撃ももらっているなという気がします。こういったことを考えると、海外の投機筋も急激に相場が円安に振れない限り、日本は介入しないだろうと当然わかっていると思います。
海外の投機筋(ファンド)も銀行を辞めた連中がいっぱい入っています。私の年代やもう少し上の年代もシニアアドバイザーみたいなことでやっているかもしれません。
各国の中銀のスタンスが十分に分かった上で、多分これは介入に入らないと思えばドル買いもしやすいです。
ただ、みんなが上をあまりにも買ってくれない、というか、買ったものの145円の手前で利食ってしまうので、結果的にうまくワークせず、上値を買わないだけだと思います。上値を買ってもいいかなとセンチメントが整ってきて、チャートもそうなり、なおかつ米債利回りも上昇し、アメリカの景気指標が良くなれば、もう一発「145円をやってみる」という感覚になり、145円30銭を超えて上値トライがあるのではないでしょうか。
それで146円台ぐらいまで行けば、もう一発、実弾介入が出てくるでしょう。それを見越して、むちゃくちゃ売ってくる連中もいるだろうと予想します。また、「なんちゃって介入」をやってくるファンドなど、いろいろな思惑が出てくるだろうなと思います
雇用統計の直前だけでなく、前日も動かなかったりするのか?
前日ぐらいで動かなくなることも多々ございます。
銀行のディーラー含めて「よくわからない→わからないからやりたくない」という気持ちがあります。なおかつ雇用統計前なので、サボタージュしているインターバンクもありますね。
要するに「大きな指標が出たらどっちみち売り買いするのだし、その前にポジションを持っていても発表前に手仕舞いしなくてはならないから、あまり無茶しないでおこう」というのが一般的なプロディーラーの考え方です。みんなギャンブルはしないです。
本来であれば、前日もあまり大きなポジションを持ちたくないのですね。
何かしないといけないので、多少売ったり買ったりもしますけど、方向性がわからない、もしくは自分の相場観と外れた方向に動くのであれば、とりあえず雇用統計までやめようとなります。何もしなければやられないので。
雇用統計が発表されたら、流れに乗って順張りしてみようという人が出てくるのですが 、それまでは動かなくなる可能性が結構あります。
自分一人だけが相場をやろうと思っても、周りが動いてくれないと、狭いレンジの中で売ったり買ったりして、儲からなくて疲れるだけという場合があります。そうなってくるとプロディーラーたちはみんな撤収するので、参加者が減ってしまいますね。
水平線ブレイクについて
今日の値動きを見ると、(164~164.45円が)団子状態になっていて、164円45銭がものすごく重たかった。
164円40銭の上を何回も突っかけて失敗した。
これだけ何回も止まっていますので、もし、上がってきて、164円45銭が抜けたら素直に買います。(図1の赤い水平線)
その日の高値を超えたら買ってみて、伸びなかったらやめる。
(騙しで下がった時に、そのままずっと持っていると大損になるのでやめます。)
コツンコツ当たり、なかなか超えていかないのだったら、振幅も小さいからなんとか逆張りできます。でも、1回落ちた後、近づいていった時は大きく抜ける可能性が高いので、逆張りはお勧めしないです。
次に、直近の安値(図1の青い水平線)を引きます。
そこを抜けたので、売りがドーンと入る形になりました。
もみ合いを続けている時はやらなくていいですけど、こういったところ(直近の高値・安値を超えた、水平線ブレイクしたところ)は、順張りで参戦したいと思いますね。どこで止まるか、それは誰もがわからないのですが。
次に、ここで色を変えて、なおかつ細くしましょう。(図2の下の短い赤線)
ここでダブルボトムを打ちました。そして、直近高値(図2の上の短い赤線)を抜けました。ここから買えばいいです。
その後、ブルーのライン(図2の青い水平線)で止まる可能性もあったのですが、ぶち抜いてきました。そのため、買いで付いて行くしかないという形になります。
レジスタンスだと思っていたもの(図2の青い水平線)がサポートになりましたら、下がってもそこで1回ぴったりと止まります。
次に、これ(図2の青い水平線)が割れたら、またここから売るわけです。
レベル感を持っているわけではなくて、チャートで何度か止まっているポイントを抜けたら、上でも下でも素直にポジションを持ってみる。(プライスアクションでも構いません)
こういった、ブレイクした時に狙う方向というのは、人間もしくはAIが見ている方向性です。
要するに順張りのAIはここ(図2の青い水平線)でガンガン売り増しをして、上に残ったと思われるストップを全部ひっかけに行くわけです。
そのため、AIと同じようにやらないとやられてしまう。
方向性がわからない時は無理して入らない。
直近高値や直近安値を抜けたら、順張りで入ってみる。最初は怖かったらデモでもいいですからやってみてください。
基本は成行でポジションを作って、利食い、損切を置く
成り行きで叩いてポジションを作って、利食い、損切りを置くというのが基本パターンです。安いところを買おうと指値を入れるのは、そこで止まるかどうかが分からないから。ある意味それは、すごい逆張りなので、本来、自分としてはあまりやりたくない。
確かに動かないという風に決め打ちすればいいのですけど、大きく動く相場は、現状レートから指値までの距離に比べてストップが浅くなり、指せば指すだけやられて終わるというパターンになるので、それは注意をしなきゃいけないと思います。
フィボナッチリトレースメントの起点
ユーロドルの日足を見ると、上値、安値がどんどん切り下がっていますから、(1)からフィボナッチをドーンと引くのと(2)から引くのと(3)から引くのでは全然違いますよね。
自分としては、相場で一番ポジションが残っている可能性が高い、直近高値を日足で見て引いていきたいなと思います。
今だと(4)の1.02のところですかね。(5)でもみ合って、一瞬、直近高値の1.0040ぐらいがあるのですが、(4)以降の値動きは、一連の流れと見ます。
(4)の1.02から(6)の0.95361(直近安値)まで引いて、フィボナッチを見たいなというふうに思います。
負けた時のアドバイス
最初のうちはそうなのですが、自分が怖いと思った時にやめてしまうのが一番ダメだと思います。自分の過去を思い出してみると、スランプの時にやり続けるのが大事だと思います。
ただし、同じ金額でやると恐怖心の方が先に立ちますので、金額を3分の1とか5分の1に下げて、リハビリとしてやればいいと思いますね。
もしくはデモでもいいです。
損を取り返そうと思って倍のポジションを持ったりするのは、うまくいったら一発で回収できるのですが、そうじゃないと ドツボにはまりますのでお勧めしないです。
コツコツ取り返すことが一番大事かなと思っています。
ポンド円とポンドドルのどちらがおすすめか?
最初はポンドドルをやってみてください。
ポンドドルの方がチャートに素直で、ある意味ポンド対ドルだけで考えられます。
ポンド円はさらにドル円の上下が絡んできます。
ポンドが下がるとドルが上がるのですが、ドル円が大きく買われると、ポンドドルが下がっているのにも関わらず、ポンド円が上がったりするので、最初のうちは対ドルをやった方がよろしいかなと思います。
ポジションの傾きの見分け方
買いで捕まっているとか、ポジションの偏りが理解できません。買いが多い、売りが多いなどどうやって見分ければ良いのでしょうか?
144円50銭から144円55銭くらいでもみ合いを続けている間は、どちらに行くか分からないので、狭いレンジで逆張りをしている人たちがいたと思います。
それが、3時55分にいきなりポーンと上に行って売りが捕まりました。
それは、下記の事でわかります。
★落ちた時にそれまで上値を止めていたポイント(抵抗線)で止まっている
ロングで捕まっているのであれば、当然上で利食いが出てドーンと下がるかもしれないのですけどそれがない。そのため、ショートで捕まっているという判断をします。
また、ジリジリ下値も上値も切り上げている。
特に下値をきれいに切り上げているというのは、みんなが買うから上がるのではなく、売っている人たちが下がらなくて損切るために起こる。
売っている人が下がらないので損切する
↓
別の新しい人が売り、下がらないので損切する
↓
さらに別の新しい人が売り、下がらないので損切する
火事の時のバケツリレーのように、ショートを振った人が次々変わっていき、損切しながら徐々に上がっていく。マーケットはショートのまま上がってくるわけですね。
ロングであれば、どんどん利食いをしてポジションがなくなっていくわけです。しかも、上がれば上がるほど買いにくくなるからロングのポジションはなくなります。
どんどん上がり続けるというのは、戻り売りをしたいポイントに来てしまうので、売りたい人間だけがどんどん売れてしまう。だから、マーケットのポジションがショートに傾きます。
ボリンジャーバンドのセンターラインが上昇に転じて、上値も下値も切り上がっていくときは7~8割方はマーケットのポジションがショートになります。
逆に切り下がっていく場合は、買いたい人間だけが買えて、売った人間はどんどん利食いしていくので、マーケットのポジションはロングになります。
このようにして覚えていただくとわかりやすいかなと思います。
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