2022.11.24のJFX LIVE(YouTube)を抜粋しました。今回は、ゲストに松岡美子さん迎えイギリスの状況を中心とした解説をしています。短期予想は鮮度が命なので取り上げていません。
なお、YouTubeのタイムスタンプ(再生開始時間)からJFXの動画にジャンプします。
年末130円台の可能性あり?
ドル円ですが、ブルームバーグの記事に年末までに130円台の可能性もありえるとありました。あと1ヶ月で8円近く下落するということと135円のサポートで難しいとみていますが如何でしょうか?
そこまでは、行かないと思う。オーバーシュートで135円かなという気がする。
YouTubeタイムスタンプ 18:39
金利差拡大でなぜドル安?
日米金利差は今後さらに広がっていくはずなのに、ドル安になっていることが理解できません。何故相場の流れが変ったのでしょうか?
これは、おっしゃる通り。ファンダメンタルズから見たら、日米の金利差が広がるので、今から売れないという気持ちもある。
しかし、すでに高いところを買ってしまっている人間にしてみれば、金利差が広がり戻ると思っていたものが、どんどん崩れている。クリスマスが近いので、欧米は、それが明けてからもう1回スタートという考え方になる。儲かっていたら、この時期に中途半端にトレードして収益を減らしたくない。海外のディーラーは、この時期、パフォーマンスで売ったり、買ったりしているだけで全然本気でやっていない。
日銀が、連続で夜中にも介入したことで、相場の流れが変わった。
YouTubeタイムスタンプ 19:17
ポンドは上昇相場継続?
ポンドに関してですが対ドル以外にも対ユーロをはじめとして強いと感じています。経済指標を見る限りそこまで買われるものかな?と懐疑的に見ているのですが、このまま上昇相場が続くと見た方がいいのでしょうか?
各通貨、今、巻き戻しで、ドル買いのポジション調整がすごく出ている。
ポンドは、10月にパリティとずっと言っていたので、売った人たちが損切しているのではないか。ひいき目で、悪い材料をほとんど織り込んでいた。ファンダメンタルズ的には、買いではないのは、よくわかる。
YouTubeタイムスタンプ 24:39
英国の状況(松崎美子さんの解説)
首相を交代して
(前首相の)トラスさんがあまりにひどかったので、残された課題が多すぎる。スナクさんは、政治経験が7年くらいしかないので、大丈夫か心配。表面には出さないがEU離脱派。英国の貿易があまりにひどいので、スイスのようなEUとの関係を作っていこうと保守党にボコボコにされている。
北アイルランドの議会が完全に停止しているので、貿易とは別にEUとの話し合いはかなり進んでいる。これだけが、唯一、スナクさんの良いところ。
2019年のボリス首相の時に、毎年50万戸の新築住宅を建てるという選挙公約をしたが、24~28万戸くらいしか建っていない。英国は、家を建てる時に、ものすごく厳しいルールがあるが、それを少し簡素化して公約を達成しないと次の2024年の選挙に勝てない。
本来であれば、昨日(11/23)、簡素化の住宅法案の投票があるはずだったが、最後の1時間くらいでドタキャンしてしまった。地方の選挙区の人たちは、みだらに家を建てたくない。逆に建てなくてはいけない選挙区の人たちは「今更何を言っているのだ」と主張しもめている。
スナクさんは、それをきちんと止められない。重鎮みたいな人が出てきて、とりあえず、採決は保留して、後日、審議しようということになった。計画していた採決がドタキャンされるというのは、首相として力がない証拠。
あと、議会政治を作ったのが英国なのに、労働党が上院、下院制度を廃止して、一院だけにしようと言い始めた。
スナクさんは、今、影が薄い。
YouTubeタイムスタンプ 48:44
英国の大型緊縮財政政策
財政の緩和から超引き締めで、キャメロン政権以来の大型緊縮財政政策を発表した。平均的な家庭に請求可能なエネルギー料金の上限が2500ポンド(日本円で約42万円)だった。来年の3月にそれが切れると74万円になるはずだった。それが、一応、その後1年間は3000ポンド(日本円で約48万円)程度になった。
インフラは、それほど上に行かずに済み、英国中央銀行もインフレのピークを来年の第1四半期くらいと想定している。そのため、アグレッシブな利上げをしないと思っている。
世界各国がインフレ退治のために政策金利をどんどん引き上げることしかしてこなかった。
英国は、財政引き締めで増税をする。それを行えば、景気が良くなるわけがないので、雇用もおかしくり、インフレにならない。
英国は、来年、マイナス成長で良いから、インフレを抑え込むと腹をくくった。
ヨーロッパもアメリカもここまでアグレッシブには言っておらず、ある意味英国が実験台になる。
当然のことながら、景気の悪化と共にポンドも売られてくる。それでも、今は、まだ買いで見ているが、どこかでガクッといくと思う。
アメリカの景気が腰折れしたとしても、イギリスのそれの方が深いので、ポンドドルは下がるだろう。
YouTubeタイムスタンプ 55:21
主要国の中立・ターミナルレート金利予想
松崎美子さんが要人発言等を元に予想した、独自の主要国中銀の中立・ターミナルレート金利は以下の通り。
主要国中銀の中立・ターミナルレート予想
中立金利 | ターミナルレート | インフレ率 (サービス業) | |
米 FRB | 2.5% | 5~5.25% | 6.7% |
ユーロ圏 ECB | 2%前後 | 2.75~3% | 4.4% |
英 イングランド銀行 | 1.25~2.5% | 4.6% | 6.1% |
最新の政策金利水準
米国 | 3.75~4% |
ユーロ圏(預金金利) | 1.5% |
英国 | 3% |
中立金利:景気が良くも悪くもならず、インフレが安定する理想的な金利水準。
ターミナルレート:一連の利上げの最終到達地点。
私は、アメリカの中立金利はもっと高くて、3.75%くらいまで行けるのではないかと思う。
アメリカと英国が同じようなインフレ率の中で、なぜかヨーロッパだけが低い。ターミナルレートは、アメリカがダントツに高いが、中立金利を見ると英国だけが1%台になっている。英国は、ターミナルレートと中立金利の差が大きいためきつい。英国で生活しているとそれをすごく感じる。スーパーに行くと食料品がめちゃくちゃ高くなっている。
今、アメリカが利上げ幅を50ベーシスポイントにすると言ったら、ドルが下がってきた。ヨーロッパは、最後まで利上げをしなかった。それが、もう、すでに後半戦に入ってきているので、来年は、スーッと金利が下がるだろう。
要は、アメリカの政策金利は本来2.5%でないといけないのに、金融引き締め過ぎのリスクがある。その景気をオーバーキル(ある目標を達成するために、過剰な努力や行動や道具を使うこと)させても、インフレを抑え込む必要がある。
イギリスは、今後、スナクさんがどれだけ舵取りを出来るか。次期総選挙は、だいたい2024年の5~6月にやることになる。そうなると、来年は、選挙の前年になるため首相を交代している時間がない。変な話、代えるなら今だが次がいない。
YouTubeタイムスタンプ 1:00:04
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